手根不安定症の分類

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手根不安定症にはいろいろな病態があり、種々の分類が報告されています。
Larsenらは、以下の6つのカテゴリーに分けて分類しています。
1) カテゴリーⅠ(受傷から診断までの期間による分類)
①損傷した靭帯の治癒能力が最も高い受傷後1週間以内の急性期、②治癒能力がある程度残っている1~6週までの亜急性期、③治癒能力がほとんどない6週以降の慢性期の3つに分類します。
2) カテゴリーⅡ(損傷の程度による分類)
①舟状月状骨(ST)靭帯の部分損傷で背側部分が残存し、ストレス下でもアライメントが良好であるpredynamic instability、②SL靭帯は完全に損傷しているが、舟状骨を安定化する舟状大菱形小菱形骨(STT)靭帯や橈骨舟状月状骨(RSL)靭帯が温存されているためストレスをかけた時のみアライメント異常を呈する動的不安定症(dynamic instability)、③靭帯の完全断裂で永続的なアライメント異常を呈する静的不安定症(static instability)の3群に分類します。
3) カテゴリーⅢ(病因による分類)
病因により先天性、外傷性、炎症性、腫瘍性、医原性その他に分類します。
4) カテゴリーⅣ(障害のある部位による分類)
橈骨手根関節、近位手根列の手根骨間、手根中央関節、遠位手根列の手根骨間、CM関節などに分類します。
5) カテゴリーⅤ(方向による分類)
月状骨が背屈するdorsal intercalated segment instability(DISI)、月状骨が掌屈するvolar intercalated segment instability(VISI)、近位手根列全体が尺側に偏位するdorsal translocation、近位手根列全体が背側に偏位するdorsal translocationに分類します。
6) カテゴリーⅥ(パターンによる分類)
同じ手根列内で手根骨間の靭帯損傷や手根骨の骨折がある解離性手根不安定症(carpal instability dissociative:CID)、橈骨と近位手根列間、あるいは近位手根列と遠位手根列間の障害である非解離性手根不安定症(carpal instability non-dissociative:CIND)、CIDとCINDの合併したcarpal instability complex(CIC)、手根不安定症の原因が手関節の近位や遠位にあるcarpal instability adaptive(CIA)に分類します。

►►►手根不安定症の受傷メカニズム

手根靭帯損傷は手関節過伸展に尺屈、さらに橈骨手根関節あるいは手根中央関節を回外する力が加わり生じるとされています。
Mayfieldらは、実験的に4つの段階があることを証明しています。
stage 1
まず、SL(舟状月状骨)解離あるいは舟状骨骨折を生じる。
stage 2
次に月状有頭骨関節の脱臼を生じる。
stage 3
さらに、LT(月状三角骨)解離あるいは三角骨骨折を生じる。
stage 4
最終的に月状骨脱臼を生じる。
LT解離はこのstage 3として生じるか、あるいは手関節橈屈、手根中央関節を回内する介達力で生じるとされています。
 
松下和彦ほか:手根不安定症の診断と治療.Monthly Orthopaedics.18-12,2005

 
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